今回はFabFilterのEQ、Pro-Q3の使い方を解説します。
英語マニュアルが苦手な方は、この記事を読めば基本的な使い方を理解できるはず。
このPro-Q3は非常に作り込まれたEQで機能も豊富。個人的に一番オススメな機能はDynamic EQですね。
このDynamic EQ機能とは常にEQがかかるのではなく、設定したDynamic rangeとThresholdに応じてEQのかかり方を決められるというもの。
写真多めで短時間で読めるのでどうぞ↓
Pro-Q3の使い方
まずは赤枠部分から。ここでundo、redo、あとはAとB、2つの設定を切り替えたりアクティブな方の設定を非アクティブ側にコピーすることができます。
緑枠部分ではプリセットを呼び出せるのと同時に、設定の保存も可能ですね。また、横軸の尺度は上下ドラッグ、縦軸は水色枠部分をクリックすることで変更可能。
オレンジ枠部分からはMIDI機器へのアサインができます。この辺はFabFilterのプラグインどれも共通ですね。
次に赤枠部分からはイコライジング処理の方式を選べるようになっています。
Zero LatencyとLinear Phaseの中間にあたるのがNatural Phaseでレイテンシーもプリリンギングも目立って発生しないというもの。
個人的にはミックスの段階でLinear Phaseを使用しますが、あとはZero Latencyばかりです。
さらにLinear Phaseでは解像度を選択することができます。ただ、解像度を上げるほどレイテンシーも大きくなり、当然CPUにも負担がかかるのでMediumぐらいがよろしいかと。
Analyzerボタンをクリックすると写真のような状態になります。赤枠部分のPre・Postボタンをそれぞれ点灯させることによりPro-Q3を通る前と後の波形を表示するか選択できます。
緑枠部分にはPro-Q3がインサートされている他のトラックが表示され、選択することでその波形を同時に表示することができます。Pro-Q3をインサートしていないと参照できないのでご注意を。
水色枠部分は左からフリーズボタン、スペクトラムグラブボタン、コリジョンボタン。
フリーズ機能を有効にするとスペクトラムの最大値が消えずに表示されたままになります。最大値が更新された時に表示が変化(上方に広がる)していくという感じ。
スペクトラムグラブ機能を有効にした状態でマウスカーソルを波形の上に置くと、スペクトラムの最大値が白線で表示されます。
さらに白線上のポイントをドラッグすることによりEQポイントの調整が可能。
コリジョンボタンをクリックすると緑枠部分で選択した別のトラックと周波数がぶつかる部分が赤色で強調表示されます。
その隣にある赤枠部分のボタンをクリックすると、スペクトラムアナライザーの設定画面が表示されます。Rangeはアナライザーの縦方向の範囲設定、レゾリューションは解像度設定ですね。
解像度は先にも述べましたが高くしすぎるとレイテンシーも大きくなってしまうので、これも必要な時以外はMediumで使用するのがよろしいかと。
Speedではスペクトルのリリース速度を設定でき、早いほど変化を忠実に表現してくれます。じっくり眺めて見る必要がある時は遅め設定ですね。
EQ Match機能は、参照(Reference)するトラックを元に既存トラックに対してEQポイントを自動設定するというもの。要するに既存トラックを参照トラックに寄せて行くってことです。
Referenceから参照するトラックを選択し、しばらく再生すると、となりにあるMatchボタンが点灯するのでクリック。
次の画面では、いくつのEQポイントを適用するかを選択するためにスライダーが表示されます。そこでポイント数を選んで、最後にFinishボタンを押して終了です。
一番右側の水色枠部分をクリックすると写真のような状態に。赤枠部分にある丸いホイール。外側でパン、内側でOutput levelを調整できます。
ホイールの下にはGain levelを調整するための横スライダー。ちなみに水色枠部分に表示されているのがOutput levelとGainで、ここを上下にドラッグして、この2つを調整することもできます。
ホイールの右下にあるL/Rのボタン。これはPro-Q3をステレオでインサートしている時のみ表示され、クリックするとM/Sと切り替えることができます。
L/Rの時は通常のパン、M/Sの時はMidとSideのパンを調整できるようになります。
緑枠部分は左からPhase invertボタン、Auto gainボタン。一番右側のボタンではピンク枠のOutput lever meterの表示・非表示を切り替えられます。
Phase invertは出力の位相を反転し、Auto gainはEQによって損失、増加したGainを自動的に補正してくれます。
オレンジ枠部分はBypassボタン。信号の流れからPro-Q3を迂回させたい時に使用。
EQポイントが選択された状態だと、写真のようにGainやFrequencyを調整するノブが常時、表示されます。しかもEQポイントを移動すると一緒についてきてくれます。可愛いやつですね(笑)。
赤枠部分をクリックするとフィルターの種類を選択できます。中でもオレンジ枠のTilt系フィルターはオレンジ矢印のようにEQポイントを上下に移動するとフィルターが反転してくれます(次の写真を参照)。
緑枠部分のホイールは左からFrequency、Gain、Q設定をするもの。ホイールをクリックして数値を直接入力して指定することもできます。
水色枠部分の数字は現在選択されているEQポイントの番号で、この写真だと4番目ですね。1〜3番目のEQポイントは削除したのでこれば4番目ということです。
数字の左右にある矢印で操作するEQポイントを変更することもでき、×ボタンでEQポイントを削除できます。
各帯域にカーソルを合わせると、赤枠部分のようなウィンドウが表示されます。
Frequency、Gain、Qはダブルクリックで直接入力可、電源ボタン、×ボタンでEQポイントの一時無効化、削除も行え、フィルタータイプも変更できます。
緑枠部分のヘッドホンマーク、これをクリックした状態でドラッグすると、そのEQポイント近辺の音だけ聞くことができ、Qを変更すれば聴ける範囲も調整できます。
また赤枠部分、右下の三角マークをクリックすると水色枠部分のようなウィンドウが表示され、Gainの反転、フィルター選択などいろいろできるようになってます。
ここで注目の機能、Dynamic EQというものがありまして、そもそもDynamic EQとは常にEQがかかっているのではなく、Thresholdに引っかかった時だけ動作するというもの。
コンプみたいな感じですね。この赤枠部分のMake Dynamicをクリックしてみましょう。
DAWを再生してみると赤枠部分のように黄色のラインがThresholdレベルに応じた反応をして凹んでいますね。
緑枠部分でThresholdを変えてみると、当然、反応の仕方にも変化が出てきます。
そして水色枠部分でDynamic rangeを設定し、音の増幅、圧縮の程度を決めるという流れになります。
さらにPro-Q3から新たにBrickwallがスロープに追加されました。写真のようにまさに壁。Brickwall以外にもこれだけスロープを選択できるのは非常にありがたいですね。
赤枠部分でStereo placementを選択でき、LeftのみSideのみなど自由に選択できます。
さらに緑枠部分のハサミボタンをクリックすれば、選択中のEQポイントを同種類のものに分割できます。
具体的にはStereo、Left、Rightの状態で分割すればLとRに、Mid、Sideの状態で分割すると、さらにMidとSideに分割という感じでどんどん細かくしていくことができます。
ちなみにPro-Q3からSurroundに対応!
Oh my god!
最後に赤枠部分の小さい鍵盤マーク。これをクリックすると下に鍵盤が表示されます。
この鍵盤上に選択中のEQポイントが表示され、音名がわかるようになってます。ちなみに緑枠部分のように直接入力してEQポイントを設定することもできます。
- Pro-Q3は非常に作り込まれた機能豊富なEQ
- EQ Match機能で楽をしようと思えば楽できる
- Brick wallがスロープに、Tilt shelf、Flat tiltがフィルタータイプに追加された
- Dynamic EQ機能が革新的
- Surroundに対応
EQ Match機能のような自動機能って学習にも使えると思うんですよね。なぜ、ここにEQポイントが設定されるのか、どのあたりを抑えればどういう変化があるのかって。
同じような自動機能は他にもNeutron2 advancedのTrack assistant機能、Ozone8 advancedのMaster assistant機能などがありますが、こういうのも学習にはいいんじゃないかと。
DAW付属のEQに物足りなさを感じ、新しくEQが欲しいって思った時には間違いなくオススメなのがPro-Q3です。