以前から使用しているプラグインにXferRecordsのLFO Toolっていうものがあります。主にサイドチェーンコンプを再現するために使用しているのですが、かなり重宝しています。
LFO ToolはLFO波形をさまざまなパラメータにルーティングすることにより音に多様な変化をもたらすプラグイン。
DAWのオートメーションでは困難な表現を簡単に実現することができる優れもの。
ということでこの記事では、LFO Toolの使い方について書いています。
LFO Toolの使い方
LFO Toolの基本的な使い方
基本的な考え方としては写真のようにLFO波形をルーティング先にぶつけるだけ。そこに波形の形、ルーティング量など細かい設定をしていくという流れです。
プリセットは写真右上の水色枠の部分から読み込み、フロッピーディスクアイコンで独自のプリセットを保存可能。
LFOのルーティング
ルーティング先はcut(cut off)、res(resonance)、vol(volume)、pan(panning)、var(variable)があり、varは選択したフィルターによって割り当てられるパラメータが異なります。
ルーティング先や波形を変えることによりサイドチェーンコンプ以外にもトランスゲート、複雑なピンポン効果など狙えますね。
各ルーティング量は横スライダーで調整し、全体量を一番下のdepthで調整。左端の数字は最大で12個編集できる波形のどの波形がパラメータに適用されるのかを選択する部分、後述します。
LFOの編集
上部に並ぶ1〜12までの数字、ここを切り替えるとそれぞれ異なる波形を編集することができます。
数字の横には波形のコピペ・読み込み・保存のためのアイコンが並びます。これらはあくまでも波形に関するもので、プリセットの保存とは別物。
先にも述べた通り、それぞれの波形は自由に各ルーティング先へ設定できます。
波形編集は編集ポイントに対して以下のような操作で行います。
ドラッグ | 編集ポイントが自由に移動し曲線を作成 |
---|---|
ダブルクリック | 編集ポイントの追加、削除 |
Alt+ドラッグ | 編集ポイントがグリッドに沿って移動 |
Shift+クリック | グリッドと同じサイズで直線を作成 |
LFOのコントロール
グラフの下部では波形の再生に関するパラメータを設定できます。波形の形状によってはプチプチとノイズが発生する場合があります。
そういう場合はSmoothを上げてやるか、波形のエンドポイントを少し前にずらしてやれば解消できます。
・(ドット) | Rateで付点がついたものを選択可能にする |
---|---|
3 | Rateで三連符がついたものを選択可能にする |
♪ | DAWのテンポと同期させる |
アンカー | 波形再生とDAWの再生を連動させる、OFFにすると常に波形が再生 |
Rate | 波形を再生する時間を設定 |
Swing | 波形にswingを与える |
Phase | 波形の位相をずらす |
PWM | 波形の各ラインの再生時間を変える |
Smooth | 波形出力を緩やかにする |
Snap | グリッドの分割数を設定 |
Phaseで位相をずらすと、この写真のように青いエリアをラインに関係なく前後に移動できます。
あくまでも青いエリアがLFOの出力なので、この場合は青いラインに沿って音が変化するわけではなく青いエリアに沿った音の変化となります。
編集ポイントを動かしてラインを作成したのは、あくまでもこの青いエリアを形作るためのもの。
今度はPWMをいじってみました。先ほどのように青いエリアが変化していますね。PhaseとPWMの違いは以下の通り。
Phase | あくまでも青いエリアの形状はラインと同じ。位相をずらすことにより変化開始・終了のタイミングを前後する。 |
---|---|
PWM | 位相は変わらず、青いエリアの各辺に対する再生時間を変える。結界的に青いエリアの形状が変わる。 |
LFO Toolでサイドチェーンコンプ(ダッキング)を実践
LFO Toolの設定(方法1)
この方法が一般的。写真のようにキックとベースがあればベーストラックにLFO ToolをインサートしてLFOをvolにルーティングするだけです。
あとはルーティング量、波形など細かい部分を調整しながらちょうどいい状態を探ります。
LFO Toolの設定(方法2)
LFO Tool用のトラックを新規作成し、LFO ToolをInstrumentに差し込みます。サイドチェーン(写真右上)でBassトラックを指定し、Bassトラックの音量は0にします(音量はLFO Toolでコントロールするため)。
音の比較
LFO Toolで可能なのは擬似的なサイドチェーンコンプ。本来のサイドチェーンコンプの意味、仕組みとは厳密には違います。
ただ結果的に変わりはないので、むしろLFO Toolを使用した方が細かくいじれて柔軟に対応が可能。しかも軽い。
サイドチェーンコンプなし
サイドチェーンコンプあり
- LFO Toolはサイドチェーンコンプを簡単に再現できる
- ルーティング先やLFOコントロールをいじって様々な効果を得られる
- 波形編集・パラメータを細かくいじれるため、効果に対して微妙な調整ができる
- 軽い!
私が今、LFO Toolを使用している理由はサイドチェーンコンプ以外にも応用しやすく軽いから。
曲作りが進むに連れてトラックや使用するプラグインが増えてくると、どうしてもパソコンに負荷がかかりますよね。
シンセもパラアウトで使用したりして出来るだけ負荷を減らす努力をしています。そういう中での選択がLFO Toolです。
ダンスミュージックにサイドチェーンコンプって必須なので、これから曲作りを始めようっていう人には特におすすめです。