FabFilter Pro-MBはマルチバンドのコンプレッサープラグイン。
FabFilter製品は視認性や機能にとても優れていて、このPro-MBも例外ではありません。
ということで、今回はPro-MBの使い方を解説していきます。
Pro-MBの使い方
赤枠はRedo、Undo、そしてA、B二つのセッティングを切り替えるボタン。Copyボタンを押すと現在表示している方(例:A)の設定をもう一方(例:B)にコピーできます。
緑枠はプリセット一覧で、Save asからPro-Rの全セッティングをプリセットとして保存することも可能。
緑枠内の左右にある三角マークを押すとプリセットを順番に試すこともできます。
赤枠をクリックするとPro-Rの各パラメーターとMIDIコントローラーを関連付けるモードに入ります。
緑枠では処理方法のアルゴリズムを選択可能。
Linear Phase | クリアな処理結果を得られるが、レイテンシー、プリリンギングが発生する |
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Minimum Phase | レイテンシーは少ないが、クロスオーバー周波数において位相のズレが生じるためマスタリングには不向き |
Dynamic Phase | Linear Phase、Minimum Phase両方の長所を兼ね備えており、ミックスやマスタリングに適している |
赤枠からはOversamplingをOff、2倍、4倍から選択可能。
Oversamplingとは本来のサンプリング周波数を高い周波数に変換して処理することによりノイズを低減させるもの。その分、CPUへの負荷も大きくなります。
レシオを高くした場合、AttackやReleaseを小さく設定した場合など、積極的な圧縮・拡張をしている時にOversampling使用をオススメ。
緑枠ではLookaheadのON、OFFを切り替えできます。
LookaheadとはPro-MBへのInput信号を少しだけ先読みし、急激な音量変化があっても歪みを抑えるよう信号をコントロールするもの。
赤枠をクリックすると上にAnalyzerの設定画面が出てきます。
緑枠はAnalyzerに表示するスペクトラムの種類を選択するボタン。Pre(処理前)、Post(処理後)、SC(Side Chain)から選択可能。
水色枠はフリーズボタンで、これを有効にするとスペクトラムの動きが停止し、最大値だけが更新されるようになります。
オレンジ枠では上からResolution、Speed、Tiltの設定が可能。
Resolution | 分析のための解像度を4段階で設定可能。大きくするほど低周波数域での精度が上がる |
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Speed | スペクトラムのRelease速度を5段階で設定可能。速く設定するほど動的変化が分かりやすくなる |
Tilt | 1octaveあたり何dB減少させるかという勾配設定が可能。0・1.5・3・4.5・6dB/octaveの5段階から選択 |
赤枠をクリックすると上部にノブなど色々出てきます。
緑枠は左がInput、右がOutputに関するノブで、それぞれ内側でGain、外側でPanをコントロールすることが可能。
水色枠はバイパスボタンでPro-MBをバイパスすることができます。
オレンジ枠はMixスライダー。Dry/Wetの比率を調整。
ただこのスライダーの設定範囲は0%〜200%となっていて、Dry/Wetの調整のみならず、Gain処理を増やすこともできます。
赤枠はレベルメーター。
緑枠をクリックするとディスプレイのスケールを変更可能です。
黄色い丸を赤矢印のように左右にドラッグすると、赤枠内にある帯(少し白っぽくなっている)も一緒に移動。
好みの位置で黄色い丸をクリックするとバンド(帯域)が設定されます。
赤枠はソロボタンとミュートボタン。そのバンドをソロで聴いたりミュートできます。
緑枠内を上下にドラッグすると緑丸部分のスロープを左右個別に調整可能。
バンドの端にカーソルを持っていくと、赤枠のように境界線が太くなります。これを左右にドラッグするとバンド幅を自由に変更することが可能。
試しに隣のバンドまで引っ張っていきます。
すると隣のバンドの境界線と合体してしまいます。
この状態で赤枠を上下にドラッグすると、クロスオーバー周波数を中心としてスロープを調整できます。
緑枠をクリックすると合体した境界線が再び2本に分割。
赤枠をクリックすると、その位置に新たな境界線を作成可能。
各バンドには緑枠のようにバンドの細かい設定をするためのパネルが用意されています。
赤枠の電源ボタンと×ボタン。これでそのバンドだけバイパスして聴き比べたり、バンドを削除することが可能。
緑枠をクリックすると、バンドに適用できるプリセット一覧が表示されます。
赤枠はダイナミクスモードボタン。ここでCOMPRESS(圧縮)かEXPAND(拡張)を選択します。
緑枠は左からTHRESHOLD、RANGE。
THERESHOLDノブには、ノブを取り囲むように円形のSide Chainレベルメーターがあります。
THRESHOLD | コンプレッサーまたはエクスパンダーが作動を始めるレベル(しきい値)を設定 |
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RANGE | 圧縮量(または拡張量)の最大値を設定。値は下方向と上方向どちらかを設定できる。よってダイナミクスモードボタンとの組み合わせにより、下方圧縮、上方圧縮、下方拡張、上方拡張の4タイプを実現可能 |
下方圧縮 | COMPRESS+RANGE(マイナス値)。しきい値を超えた部分を下方に圧縮(通常のコンプレッサー動作) |
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上方圧縮 | COMPRESS+RANGE(プラス値)。しきい値を下回った部分を上方に圧縮 |
下方拡張 | EXPAND+RANGE(マイナス値)。しきい値を下回った部分を下方に拡張 |
上方拡張 | EXPAND+RANGE(プラス値)。しきい値を超えた部分を上方に拡張 |
水色枠は左からATTACK、RELEASE。
ATTACK | コンプレッサー(あるいはエクスパンダー)がどれくらいの時間をかけて作動していくのか設定 |
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RELEASE | どれくらいの時間をかけてOffにしていくのか設定 |
赤枠は左からRATIO、KNEE、LOOKAHEAD。
RATIO | 圧縮(または拡張)の程度を設定 |
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KNEE | Thereshold近辺での圧縮(または拡張)のかかり方を設定。SOFTにするほど緩やかなかかり方になる |
LOOKAHEAD | Input信号をどれくらい先読みするのか設定(最大20ms) |
緑枠はOUTPUTノブ。内側ノブで最終的な出力レベルを決め、外側ノブでPan(MidとSide)調整をします。
水色枠をクリックすると、EXPERTコントロール画面を表示。
こんな感じでEXPERTコントロール画面が表示されました。
赤枠でトリガー信号を選択します。Bandを選択すると、そのBandへの通常入力(エキスパートモードがOffの状態のもの)がトリガーになります。
Freeを選択すると緑枠のようにバーが表示されます。
水色の丸の部分を左右にドラッグしてトリガーとなる周波数範囲を自由に設定可能。
赤枠のIn、ExtでSide Chainのトリガー信号を内部、外部のどちらから入力するか選択。
緑枠のAuditionボタンをクリックすると、トリガーに使用される信号を聴くことができます。
水色枠のステレオリンクスライダーはステレオリンクを調整するもの。一番左でステレオリンク0%(L、Rが完全に独立)、中央でステレオリンク100%(L、RのGainリダクションが同じ)です。
オレンジ枠をクリックすると、ステレオリンクスライダーを中央から右に動かした時のモードを選択できます。
MID | Mid信号(モノラル成分)のみを処理 |
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SIDE | Side信号(ステレオ成分)のみを処理 |
この成分をMidとSideに分ける機能はミックス、マスタリングで重宝しますね。
- 高機能で視認性が良い
- プリセットが豊富
- 音を分離して視聴する機能が豊富なため、特にミックス、マスタリングで重宝する
DAWにもマルチバンドコンプレッサーは付属していたりしますが、どうしても見やすさや機能でPro-MBを多用しているのが現状。
視認性とかグラフィックが綺麗なのってモチベーションに影響しますよね。